アヤDay 1の「イカの奇跡」は痛快でしたけど、2日目はどんな一日になったんですか? やっぱり雲仙普賢岳の絶景がメイン?



景色ももちろん凄かった。 でもね、この日は不思議と「人」が記憶に残る一日だったんだ。



人、ですか? ソロツーリングなのに?



そう。AIは「最短ルート」や「映える景色」は教えてくれるけど、「誰と出会って、どんな言葉をもらうか」までは予測できない。
孤独を愛して走っていたはずなのに、最後には人の温かさに救われる。そんな「旅の真髄」みたいなものを味わったよ。
こんにちは、風牙です。
九州一周ツーリング2日目、2025年10月19日(日曜日)。 長年勤めた会社員時代、日曜日の朝といえば「明日からまた仕事か……」という憂鬱なサザエさん症候群の予兆を感じる時間でした。
しかし、今の私に「月曜日の出社」はありません。 あるのは、目の前に広がる見知らぬ道と、相棒のCB400SBだけ。
宿泊した佐賀県・嬉野温泉「一休荘」の湯で、おじさんの肌をツルツルに磨き上げ(ヘルメットの顎紐が滑るほどです)、清々しい秋晴れの下へ飛び出しました。
今日の目的地は、長崎県の島原半島にある「原城(はらじょう)の宿」 ルート上には雲仙普賢岳という難所が待ち構えています。
「今日は走り込むぞ」
そう意気込んでヘルメットのバイザーを下ろした私でしたが、この日待っていたのは、エンジンの鼓動以上に心を震わせる「一期一会の連続」でした。 AIが作った無機質なルートプランの上で起きた、とても人間臭くて、温かい物語をお話しします。
ガソリンスタンドと武雄温泉楼門


朝、嬉野を出発してすぐに給油へ。 ここで早くも「旅の魔法」にかかります。
給油中、スタンドの店員さんたちが集まってきて、自然とバイク談義が始まりました。
「どこから来たんですか?」「いいバイクですね!」 茨城の近所のスタンドでは事務的なやり取りしかありませんが、ここでは初対面の数分間で旧知の仲のように笑い合える。
旅先ならではの「距離感の近さ」に、朝から心が軽くなりました。
その後立ち寄ったのは「武雄温泉楼門」 竜宮城を思わせる朱色の門周辺を散策しました。
ただお湯に浸かるだけではない、温泉地としての深い歴史背景。
学校の教科書には載っていない「土地の空気」を肌で感じ、知的好奇心も満たされます。
雲仙への快走。性格の違う3つの道


移動の途中、ユニークなカッパ伝説発祥の地とされている、「潮見の河童」像が気になり、急遽立ちより。
河童の愛くるしい像に癒やされつつ、いよいよこの日のハイライトである山岳ルートへ。
ここでは3つの異なる「道」の表情を楽しみました。
1. 仁田(にた)峠: 期待通りの絶景。空が近く感じます。
2. まぼろしの道(まだすロード): ここが想像以上の快走路! 信号も少なく、緑の中を走り抜ける爽快感は格別でした。
3. レインボーロード: 広域農道ならではのアップダウンとカーブ。
私の愛車CB400SBも、高速道路よりこういう道の方が生き生きとしています。
VTECサウンドを響かせながら、「操る楽しさ」を全身で味わいました。
有明海沿いで起きた、名車との出会い


山を抜け、有明海沿いの「干潟ロード」を流していた時のことです。 休憩していると、「島原が故郷だ」という男性に声をかけられました。
その方が乗っていたのは、名車「CB750Fインテグラ」 私のCB400SBの大先輩にあたるバイクです。
「写真を撮らせてください」
そう言われ、なんと私のバイクと並べて、私も一緒に写真に収まることになりました。
見知らぬおじさん二人、海をバックにバイクを並べての撮影会。
別れ際、彼はこう言いました。
「写真を見た時に、あなたのことを思い出しますから」
その言葉を聞いた瞬間、胸が熱くなりました。 ただのすれ違いではなく、誰かの記憶に残る「風景」の一部になれたこと。
しかし、ここで一つだけ心残りが。 不意の出来事に動転してしまい、私の方で彼の写真を撮らせてもらうのを忘れてしまったのです。 あのCB750Fと彼の笑顔は、私の記憶の中にだけ残る「心のシャッター」に収められました。
昼食抜きの雲仙地獄とレモネード




午後からは再び山を登り、雲仙温泉エリアへ。
あたりには硫黄の匂いと湯気が立ち込め、地面から噴気が上がる「雲仙地獄」はいかにも温泉街という風情です。
この日は走りと出会いを優先し、ちゃんとしたランチは抜き。 その代わり、名物の「温泉たまご」と「温泉レモネード」でお腹を満たしました。
50歳を過ぎての一人旅。
食事の時間にとらわれず、気の向くままに行動できるのも、また自由の証です。
「一生に一度の旅」に選ばれた宿


夕方、南島原にあるこの日の宿、「原城(はらじょう)の宿 城」に到着。 バイクの音を聞いて出てきてくれたスタッフの方に、「茨城から来ました」と告げると、思いがけない言葉をかけられました。
「一生に一度の旅に、うちを選んでくれてありがとうございます」
マニュアル通りの接客用語ではありません。 「会社を辞めて九州一周をしている」という私の背景を察してくれたのか、その言葉には実感がこもっていました。
「一生に一度の旅」
言われてみて初めて、自分が今していることの重みを再確認しました。 大切なバイクは、夜露に濡れないよう軒下に駐輪させてくれました。 宿の方の心遣いが、冷えた体に染み渡ります。
まとめ:人こそが旅の景色



CB750Fの方の言葉も、宿の方の言葉も、グッと来ますね……。



そうなんだ。 絶景や温泉はもちろん素晴らしかったけど、この日は「人の温かさ」に何度も救われた一日だったよ。
ガソリンスタンドでの談笑、CB750F乗りとの一期一会、そして宿での温かい歓迎。
Day 2は、偶然の会話や短い交流が、旅の彩りを何倍にも濃くしてくれました。
AIが作ったルートの上で、AIには予測できない人間ドラマに出会う。
これこそが、旅の醍醐味なのかもしれません。
……しかし、部屋で明日のルートを確認していた私は、ある「違和感」に気づき始めました。
エピローグ:AIへの疑念。「お前、俺を人間だと思ってるか?」
宿の部屋で、これまでの行程とAIが提案してくる明日のスケジュールを見て、ふと思ったのです。
「あれ……昼飯の時間が、ない?」
今日のレモネードもそうでしたが、AIの元プランには「食事休憩」という概念が希薄です。
さらに、提案されるルートを地図で拡大してみると、景色の良い海岸線やワインディングではなく、ただ距離を稼ぐためのバイパスや、何も変哲もない県道が選択されていることが多い。
「もしかしてAIは、『旅』ではなく『輸送』をさせようとしているのか?」
観光地には寄らず、休憩も取らず、景観よりも効率を優先して、A地点からB地点へ物体(私)を移動させる。
そこに「感動」や「休息」というパラメータは設定されていないのかもしれません。
「明日は島原から鹿児島(薩摩)まで一気に南下する。このままだと、また昼飯抜きで走り続けることになるぞ……」
人の温かさに触れた感動の裏で、AIという冷徹な指揮官への疑念が芽生え始めた夜でした。







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